ノウハウ 2014.09.26
Amazonも勝てなかった企業に学ぶ、顧客に愛される企業のつくり方 -『ザッポス伝説』トニー・シェイ【ブックレビュー005】

Amazonも勝てなかった企業に学ぶ、顧客に愛される企業のつくり方 -『ザッポス伝説』トニー・シェイ【ブックレビュー005】

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こんにちは!マーケティンググループのツツイです!

今回は、先日ご紹介した「EC運用担当者が夏休みに読んでおきたいマーケティング関連本5選!」の中から、『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』のブックレビューをお届けします!

ザッポスといえば、2009年にAmazonに約12億ドルで買収された企業としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

ザッポスは「”WOW!”という驚きの体験と共に生き、それを届ける」というミッションのもと、顧客の約75%がリピーターという驚異的な数字を叩き出すオンラインショップを運営しています。

本書は、ザッポスCEO、トニー・シェイの半生とザッポスの成長の軌跡が書かれています。
今回のレビューでは、ザッポスのブランディングに軸を置いてご紹介したいと思います!

ブランドを認識するのは、広告ではなく社員との接点

驚異的なリピート率を誇るザッポスですが、意外なことに広告にはほとんど費用をかけていないそう。
その分、カスタマー・サービスに投資しているとのこと。

一般的に、コールセンターは外注したほうが効率的と考えられますが、ザッポスは正反対で「大きなチャンス」と捉えています。

5分ないしは10分の間顧客の注意をこちらに向けさせられると同時に、ここできちんと対応すれば、顧客はこの体験をいつまでも記憶にとどめ、しかも友人たちに話してくれることがわかったのです。
コール・センターを最小限の費用に抑えるものとかんがえる企業が多すぎます。(中略)結果的にクチコミ・マーケティングになるだけでなく、顧客の生涯価値を高める可能性があるからです。

実際、電話(コールセンター)経由での売上は、「総売上の5%程度にすぎない」そうですが、電話にかけた時間を計ることもせず、マニュアル原稿もなく、アップセルもしないで、時には自社の在庫にない商品を探す顧客に競合他社のサイトを教えたりするなど、通常のコールセンターでは考えられない対応をしています。

しかし結果として、ブランドのために良いことをする権限を社員に与えることで、顧客はその体験をクチコミで広げてくれますし、彼ら自身もリピーターとなってくれるそうです。

企業文化の設定と維持に注力しよう

前項では顧客接点について紹介しましたが、ブランディングに寄与するのは顧客だけでなく、取引先や投資家等も含まれます。

そこで重要になるのが「企業文化」です。
ザッポスのミッションは、「ワオ!」という驚きの体験と共に生き、それを届ける」ことです。

企業文化にフィットする人を採用したい、と思っていても、会社の拡大に伴い、経営陣が応募者全員と面接することが不可能なのであれば、「求める人物像」を明確にする必要があります。

そこでザッポスでは、約1年かけて社員全員からアイデアを募り、「コア・バリュー」を設定しました。

当初は37項目あったそうですが、時間をかけ、社員からたくさんの提案やフィードバックをもらいながら、最終的に10項目に絞られました。

【ザッポスのコア・バリュー】
1.サービスを通して「ワオ!」という驚きの体験を届ける
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意志を持て
10.謙虚であれ

社員同士、顧客とのやり取り、取引先やビジネス・パートナーとの交流を含め、社員はコア・バリューに基づいた行動が求められ、評価もコア・バリューを日々の業務に反映させているか否かで行われるそうです。

行動や評価以外にも、コア・バリューを用いて企業文化を維持するポイントがあります。

  • 採用や解雇(レイオフを含む)は、コア・バリューに基づいて判断する
  • 短期間で売上や利益に貢献してくれそうなキャリアを持った人でも、コア・バリューに反する人は採用しない
  • ザッポスの企業文化を、全ての社員が楽しんでいる
    (楽しめていない場合は、いつでも質問・提案できる)

商品ではなく、Happinessを届ける

本書の最後では、「幸せ」について語られています。
筆者は「Science of Happiness」について、より深く学ぶことに興味を持ち始めたそう。

本書では、「ハピネスのフレームワーク」として3つ紹介されています。
ここでは、「マズローの欲求段階説」がビジネスの現場において、顧客・社員・投資家にどのように適用されるのか(チップ・コンリー『Peak』を参照/未訳)、また、それをザッポスに当てはめるとどうなるかについて、ご紹介します。

『Peak』に書かれている動機づけ
*顧客:期待を満たす→欲求を満たす→意識していないニーズを満たす
*社員:給与→評価→意味
*投資家:短期の投資→長期の投資→後世に残る投資

ザッポスの顧客の欲求段階
*正しいアイテムを届ける(期待を満たす)
*送料無料(欲求を満たす)
*翌日配送へのサプライズ・アップグレード(意識していないニーズを満たす)

ザッポスは「靴のオンラインショップ」ではなく、あくまで「たまたま靴を売ることになったサービスカンパニー」だそうです。
幸福感には3つのタイプがあります。
快感・情熱・崇高な目的に分類された中で、3つ目の「崇高な目的」が最も幸福感を長続きさせることができるそう。

ザッポスと著者の「崇高な目的」とは、「世界に幸せを届ける」こと。
だから「たまたま靴を売ることになったサービスカンパニー」というわけですね。


■編集後記■

いかがでしたでしょうか?

今回のレビューでは取り上げませんでしたが、ザッポスが10億ドル企業に成長するまで、2回のレイオフを実施したり、資金が底を尽きそうになって、著者が自己資産のほとんどをつぎ込んだ話にはハラハラしました。

最後の章で語られる「Science of Happiness」は、比較的新しいと言われる「ポジティブ心理学」と関連が深いそうです。
本書の中でも、「人生のゴールは何?」という問いに対し、「なぜ?」を繰り返していくと、最終的にみんな「幸せになる」という答えに行き着く、とあります。
ポジティブ心理学に関する本は何冊か邦訳されていますので、興味のある方は読んでみると良いかもしれませんね!(私も読んでみます)

ではまた!「この本のレビューを書いて欲しい」「こんなテーマを取り上げて欲しい」など、ご要望・ご質問はお気軽にどうぞ!

<目次>

Part I 利益を求めて─ ザッポスへたどり着くまで
第1章 ただ、利益を追い求める日々
第2章 うまくいくこともあれば、いかないこともある
第3章 とにかく、あれこれやってみる

Part II 情熱をかけて─成長の設計図
第4章 自分の役割に集中する
第5章 成長へのプラットフ ォーム─ ブランド、 企業文化、 パイプライン

Part III 人生の目的にたどり着く─ 幸せを届ける会社に
第6章 次のレベルへの進化
第7章 エンド・ゲーム

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